チョニングォン

morisakikazuo2005-02-16

先週の開かれた音楽会のトリは、チョニングォンだった。
Morris.はちょっと度肝を抜かれてしまった。Morris.の知ってるチョニングォンとは別人みたいだったからだ。アフロヘアに鬚をたくわえて、ぶっとい黒眼鏡かけて、なんといってもえらく肥ってしまってる。
でも歌は素晴らしかった。
代表曲の「ヘンジン--行進」と、「サノラミョン」の2曲を歌ったのだが、Morris.は物足りなくて、後で、トゥルグックヮのCDを聴きなおしたくらいだ。
Morris.は彼のステージは3回も見ている。何か縁があるという気がする。
最初に見たのが、16年以上前、Morris.最初の韓国旅行のおしまい頃に偶然ポスターを目にして、行くことにしたのだった。
ちょっと長いが、当時の日記を引用する。

1988/06/19(日)晴 ●釜山でコンサートを満喫●
コンサートは5時からだったが、会場の下見と入場券を先に手に入れておこうと、5番バスでスンポドン(ここが近いと、ソミョンで学生に教えてもらった)に出て、何人もの人に尋ねて、やっと会場のカトリック文化センターにたどり着いたのが2時過ぎ。何のことはない、国際市場のすぐ北側だった。早くも30人近くが並んでいた。
当日券(4,000ウォン)を買って、いったん街に出て街頭のはんこ屋で、お土産に友人の名前をハングルで彫ってもらう。4時に会場に戻ると、客の列は200人以上に増えてて、慌てて列の後に並び、一時間以上待って入場したら、席は三百足らずで、どうにか後ろの方にぎりぎりセーフで座ることができた。
今日から3日間、2回ずつの公演のはずだから、結構人気があるんだなと思い、隣の学生に質問する。 「彼はフォーク歌手か?」「いや、ロック歌手だ」「韓国でトップのロック歌手か?」「いや、違う」「それでは、韓国のロック歌手のトップは誰だ?」「チョーヨンピルだ」
ここで僕はちょっと絶句したが、気を取り直して「それでは彼はナンバー2か?」「いや、チョンヨンロクだ」「その次か?」「次はキムミンギだ」と、なかなかチョニングォンまでたどり着かない。
逆に「あなたはリポーターですか?」などと質問されてしまった。
ともかく分ったことは、チョニングォンは32歳のロックシンガーで、85年にトルグックヮ(野菊)というグループのリードボーカルとして「ヘンジン(行進)」でデビューしたということくらいだった。
30分ほど遅れて開演、前座のギター弾き語りが2曲あって、チョニングォンの登場。ピアノ、ベース、ドラム、リードギター、それに本人がサイドギター(あら懐かしのハミングバード)という5人編成。
オープニングが何とビートルズの「イエスタデイ」だったのには驚かされた。テープとはメンバーが違うのか、かなりアレンジも変わっていたが、結構いいノリで楽しめた。
ただ、ピアノがクラシック崩れみたいで、耳障りだと思ったのだが、これがえらく人気があるらしく、ソロのパートが終る毎に、すごい拍手が起こっていた。
観客は礼儀正しいというか、手拍子と合唱に徹していて、立ち上がるものはいなかった。
途中ファンが花束を持って行ったり、千羽鶴のレイを首に掛けに行ったりで、ロックコンサートというより、やっぱりちょっと前のフォークコンサートの雰囲気だった。
あまり喋りはなくて、どんどん曲を続けるのには好感を持った。途中二曲ジョンの曲(「ラブ」と「オーマイラブ」)をやった他は、すべてオリジナル曲のようだった。
約二時間の熱演のあと、「エンコー! エンコー!」の叫びに応えて、アンコール3曲もサービスしてコンサートは終了。帰りにテープ(2,000ウォン)を買ったら、直筆サイン入りのパンフレットをくれた。

チョニングォンの歌が「フォークロック」だという考えは今も変わらない。
見るたびにバックバンドが変わっているが、歌のスタイルは同じだし、トゥルグックヮも、ほとんどヴォーカルの彼がすべてという感じだった。
K-POPの潮流の中で、彼みたいなスタイルの音楽は傍流でしかありえないだろうし、若者世代には受け入れられにくいかもしれない。
しかし、現在の彼の姿からはそんなことはどうでもいい、といったふてぶてしさが感じられた。
Morris.はもう一度、彼のライブを見るんじゃないか、そんな予感がした。