作曲家キムヒガプ
またまた長らくのご無沙汰だった。先月からやたら仕事が混んでたり、友人の祝賀パーティの幹事でてんてこまいしてたためでもあるが、生来のサボり癖が一番の原因だろう。
ただ、韓国歌謡への思い入れはどんどん深みにはまりつつあるようだ。
ここノレ番で、どうしても取り上げたいネタもいくつかありながら、なかなか手をつけられずにいた。
その中でも、この作曲家キムヒガプについては、自分のためにも早くまとめたいと思いつづけていた。
彼の名前を最初に意識したのは、チョヨンピルがある本のインタビューの中で、韓国で一番の作曲家は?という問いに、躊躇なくキムヒガプの名前を挙げていたのを見たときだった。韓国一番の作曲家といえば、まず吉屋潤キロギュンの名前が出ると思い込んでいただけに、ちょっと衝撃だった。
最近ヘウニの曲の中では一番好きな「ヨルジョン 熱情」の作曲家ということを知って、ますます彼のことが気にかかっていた。
以前うり丸さんからもらった2冊組の「韓国の心」という、歌詞集で、キムヒガプ作曲の曲をチェックしてみた。この本には1,405曲の韓国歌謡が収められていて、キムヒガプの曲は31曲だった。これはかなりの多さだと思う。そして何よりも、Morris.が作曲家のことなど全く意識せずに愛唱していた曲が何曲も含まれていることに驚かされた。
煩を厭わず、カナダラ順に紹介しておく。「曲名(日本語訳)」「歌手名」「作詞者名」である。
- クデヌンナエインセン(あなたは私の人生) ハヌルタリ パクコンホ
- クサラムイルムンイジョッチマン(あの人の名前は忘れたけど) パッコン シンミョンスン
- コッスニルルアシナヨ(コッスニを知っている) キムグッカン キムジュンスン
- ナヌンモルラヨ(私は知らない) オクヒ キムジュンスン
- ナムジャヌンヨジャルルキチャンケヘ(男はしつこい) ムンジュラン ヤンインジャ
- ヌンドンチャ(瞳) イスンジェ パクチンハ
- ヌムレスンチャコン(涙の乗車券) チェジニ キムヒガプ
- タルマジコッ(月見草) イヨンボク チウン
- ティアモ(ティアモ) 歌手不明 ヤンインジャ
- リプスチッチッケパルゴ(口紅を濃く塗って) イムジュリ ヤンインジャ
- ムルボラ(飛沫) チェジニ パクコンホ
- パダッカエチュオク(海辺の思い出) キーボイス キムヒガプ
- パラメクルムカドゥッ(あなたがわからない) 歌手不明 キムジンホ
- ポムビ(春雨) イウンハ イヒウ
- プルルソンデイ(ブルーサンデー) 歌手不明 ヤンインジャ
- サランエミロ(愛の迷路) チェジニ チミョンギル
- サンアエノレ(サンアの歌) ソンチャンシク チェプン
- セウォル(歳月) チェホン キムジュンスン
- アルムダウォラクデ(美しい君) 歌手不明 ヤンインジャ
- アルゴシポヨ(知りたいわ) イソニ ヤンインジャ
- ヨシム(女心) チェジニ コヨンスク
- ヨンドンブルス(永東ブルース) 歌手不明 キムスンオク
- ウリノムシプケヘウォジョッソヨ(安易過ぎる別れ) チェジニ パクコンホ
- イッチョジンサラン(忘れられてしまった愛) チョヨンピル キムスンジョン
- チャグンヨニンドゥル(幼い恋人達) コンテス&キムデファ キロギュン
- ジョンジュゴネガウネ(愛して泣いて) トゥリポジュ キムヒガプ
- チンジョンナンモランネ(真情を分からなかった) イムヒスク キムヒガプ
- キュ(Q) チョヨンピル ヤンインジャ
- タタタ(タタタ) キムグッカン ヤンインジャ
- ハヤンモンニョン(白い木蓮) ヤンヒウン ヤンヒウン
- ハビョヌロガヨ(海辺へ行こう) キボイス キムヒガプ
「歌手不明」というのが4曲あるが、「韓国の心」には歌手名が記載されてなかったので(>_<)Morris.手持ちの歌本などで、調べた結果である。歌手名ご存知の方があれば、情報いただけるとありがたい。
超有名曲チェジニの「サランエミロ」が彼の曲というのにも驚いたが、イムジュリの「リップスティックチッケパルゴ」や、イウンハの「ポムピ」、キムグッカンの「タタタ」、チョヨンピルの「Q」など、Morrisの愛唱曲、愛聴曲だが、ついつい歌手のことしか頭になかった。これからは作詞作曲家もチェックが必要だということが良く分かった。恵子ママとよくデュエットしてた「チャグンヨインドゥル」までキムヒガプの曲というのには、またまたびっくりである。
最近は便利なもので、わからないことはすぐインターネット検索で調べられる。韓国ヤフーで検索したら、彼のプロフィールが出てきた。
名前:キムヒガプ [김희갑] 金熙甲
出生:1936年3月9日
学歴:デソン高等学校
職業:作曲家
デビュー:1967年「サランア サランア」 '사랑아 사랑아'
経歴:1996年 ソウルジャズアカデミー幹事
1977年〜1983年 キムヒガプ楽団代表
代表曲にはチョヨンピルの「キリマンジャロの豹」などが挙げられていたが、この曲の作詞家ヤンインジャさんが、奥さんで、夫婦共作も多いらしい。先の「韓国の心」に掲載された31曲中8曲が彼女の作詞だし、キムヒガプ自身が作詞した曲も5曲ある。夫人は小説家でもあるそうだし、娘も音楽分野で活躍してるようで、まさに家族そろって芸術一家だ。
また、つい先日発表されたチュヒョンミの17枚目のニューアルバムをキムヒガプがプロデュースして、夫婦作の4曲を吹き込んだとか、世宗文化会館で40年記念コンサートを開いたなどの最新ニュースが見つかった。まだバリバリ現役で活躍中らしい。
トロットからスローロック、バラードにいたるまで多様なジャンルに多彩な作品を発表している。彼の曲の魅力は、ストレートに大衆の耳に馴染むメロディ作り、「歌謡曲」の心を忘れずに変化に富んだサウンドを実現していることだろう。何度聴いても飽きの来ない曲が多い、というのは、Morris.の個人的感想かもしれないが、彼の曲の力のなせる技だと思う。
右上のモノクロ画像は、1975年発行の「韓国歌謡」(世光出版社)に掲載されていたものだから、少なくとも30年以上前の若き日のキムヒガプである。