ハンゲリョン

morisakikazuo2005-12-09

1994年10月の韓国旅行、帰国前日、市内バスのラジオから心洗われるような女性歌手の声が流れて、うっとり聴いていたら、後ろの座席の女子大生と思われる女の子が低い声で歌いだした。彼女に歌手と曲名を尋ねたら、曲名は知らないと言い、でも歌詞は知ってるからと、一節を僕のノートに走り書きしてくれた。その後、他の客に聞いてくれて題名も判明した。
「ハンゲリョン」と言う曲だった。バスを降りるや否や、近くのレコード店に駆けつけ、首尾よくその曲の入っているCDを買ったのだが、何と歌手はあの「アチミスルーー朝露」を歌った、韓国フォーク界では超有名なヤンヒウンだった。
当時、韓国でもフォークブームは鎮静した後だったと思うが、ブームの頃は韓国のボブ・ディランともいうべきキムミンギに対して、彼女は韓国のジョーン・バエズと呼ばれたりしていたらしい。
帰国して調べたら題名は「ハンゲリョン--寒渓嶺」と言う江原道の峠の名で、展望台がある。
そう言えばMorris.は90年にソラクサンに紅葉狩りに行った帰り、バスでここを通り過ぎたことがあることを思いだした。たしかバス道でも標高1000mを超していたはずだ。
キムミンギはあまりTV出演しないようだが、ヤンヒウンは、今でも開かれた音楽会などによく出演している。すっかり貫禄がついて、以前の楚々たる風情はどこにいったのやらといった雰囲気だが、歌はますます円熟味をましている。
ハンゲリョンは85年くらいの作品だと思う。Morris.の買ったベスト盤(90年発行)のジャケットはあまりに顔が小さいので、「韓国POP考古学70」に掲載してあった76年のアルバムジャケットを流用しておく。

[한계령]작사 작곡 하덕규 「ハンゲリョン」チャクサ、チャッコク ハドッキュ

저 산은 네게 우지마라 우지마라 하고 チョサヌン ネゲ ウジマラ ウジマラ ハゴ
발아래 젖은 계곡 첩첩 산중 パラレ チョジュン ケゴク チョッチョプ サンジュン
 
저 산은 네게 잊으라 잊어버리라하고 チョサヌン ネゲ イジュラ イジョボリラハゴ
내 가슴을 쓸어내리네 ネガスムル スロネリネ


아,그러나 한줄기 바람처럼 살다가고파 ア、クロナ ハンジュルギ パラムチョロム サルダカゴパ
이산 저산 눈물 구름 몰고다니는 イサン チョサン ヌンムル クルム モルコダニヌン
떠도는 바람처럼 トドヌン パラムチョロム


저 산은 내게 내려가라 내려가라 하네 チョサヌン ネゲ ネリョガラ ネリョガラハネ
지친 내 어깨를 떠미네 チチン ネ オケルル トミネ


[寒渓嶺]作詞作曲ハドッキュ

山は、あなたに 泣くな、泣くなという
足元に渓流の谷が連なる山の中

山は あなたに 忘れよ 忘れよという
わが胸を撫でおろす

ああ、一条の風のように 生きられるならば
あの山この山の涙と雲を吹き払う風のように

山は わたしに 降りよ降りよという
脱力したわたしの肩を押すように

●傷つきし心鞭打つ寒渓嶺泣くな忘れよと山は諭すも
歌集『韓歌』より
http://www.orcaland.gr.jp/~morris/sambo/kashu/karauta.htm