キムスヒの「断絃」

morisakikazuo2004-10-14

比較的、昔から知ってた韓国女性歌手のひとりである。
「モンエ-くびき」「ノムハムニダ--あんまりです」「ナメンヨルチャ--南行列車」と、3曲も知ってたというのは、当時(88年以前)としては破格の存在だった。
何と言ってもあの声が良い。もともとMorris.はハスキーボイスに弱い。葛城ユキ中村あゆみ青江三奈も、森進一ももんたも、とりあえずハスキーボイスなら許せてしまう。桂銀淑なんかずっと聴きつづけても飽きないという感じがあった。
そして、キムスヒもハスキー系ではあるのだが、彼女の場合は歌のおしまい部分で、ほとんど呻きに近くなり、そこにまたMorris.はぞっこんしびれてしまった。

韓国の人気漫画家イヒョンセに「哀愁のハーモニカ」という中篇があり、これの前書きかあとがきにキムスヒにインスパイアされたと書いてあった。ジャンルを超えて、インスピレーションを与える歌手のひとりなのかもしれない。
先週の「歌謡舞台」で久しぶりに彼女の姿を見ることが出来た。
「情熱の花」「南行列車」「木浦の涙」の3曲を歌った。彼女は年齢不詳である。

彼女は数多いヒット曲を持つが、Morris.が固執する歌がある。
「タンヒョン--断絃(副題-途絶えた愛)」という歌で、「Amor」というアルバムに収められている。しかし、Morris.がこの歌をはじめて聴いたのは、「韓国ノレチャラン」にゲスト出演だった。彼女の本領発揮の恨み節で、途中切々たる台詞もあり、のどじまんを見に来て浮かれていた客で満員の会場が、一瞬水を打ったような静寂につつまれてしまった。
歌詞はキムスヒ自身、作曲はキムギピョとなっている。とにかく、Morris.はほとんど凍りついてしまった。
このアルバムも数ヵ月後に手に入れた。この曲は4曲目に入っていてもちろん音は良いし、歌もすばらしいのだが、あののどじまんでの絶唱にはほど遠いように思われた。

タンヒョン キム スヒ /断絃 金 秀姫

イミ クノジョボリン /すでに終ってしまった
ミリョンハナパラゴ /未練一つ願って
チョンチュニ チナボリン /青春は過ぎ去った
ムジョンハン シガン ムジョンハン イルム /無情な時間無情な名目
ウリ アギョネ コリルル /私たちの悪縁の輪を
イッチュメソ クノボリジャ /ここらあたりで断ち切ろう
セウォレ ウルタリルル コンノガミョンソ /歳月の垣根を乗り越えながら
ノド カスムル チルコダ /あなたの胸も砕けるだろう


拙い韓国語の語学力を省みず、日本語に訳してみたり、音を拾ってコードを探り、弾き語りの練習まで試みたほどだが、いまだに、日本でも韓国でも、この歌はカラオケで見かけたことがない。Morris.の心の中で、キムスヒ幻の一曲ということにしておこう。